高齢者向け配食サービス配達員の徒然日記

高齢者向け配食サービスの役割や仕事内容、配達中のエピソードなど

高齢者向け配食サービスの配達員に向いている人、向いていない人

あくまで自己評価ではあるものの、私はこの仕事に向いている方だと思います。

というよりも、この仕事にやりがいを感じ、今までさまざまな仕事をしてきた中で一番自分に合っている仕事だと思っています。

ただ、この仕事は大抵の場合、地域の最低賃金+雀の涙の時給であることが多いですから、高給を稼ぐことができないのが残念ではありますが..。

と私のことはこの位にして、私がいろいろな人と高齢者向け配食サービスの配達員として働いてきた中で、向いていると思われる人について語っておこうと思います。逆に当てはまらない人は「こんな安い賃金でやってられるか」というような形で去って行かれることが多いのではないかと思います。

「仕方ない」と一息つける人

この仕事は、交通事情、その日の配達軒数、一人ひとりのお客様の対応にかかる時間によって、いい意味でも悪い意味でも「この時間にこの場所にいて大丈夫?」と思う機会が多いです。

その中で一番時間に前後が生じるのが、お客様宅へ到着後、お弁当を渡すまでの時間です。

玄関チャイムを押してからお客様が応答し、玄関の鍵と扉が開いて「こんにちは」と前回のお弁当箱と今回のお弁当を交換するというのが一番スタンダードな流れではあるものの、一旦、在宅のはずのお客様の応答がないという事態になれば、チャイムを何度か押し、ご自宅に電話をかけ、次第によってはお預かりしている緊急連絡先の方と連絡を取り..なんてことがあります。

単純にお客様がお手洗いに入っていた、眠ってしまっていた、ベランダや庭で作業をしていてチャイムの音が聞こえなかったというケースであれば、何度かチャイムを鳴らしているうちに応答が得られ、時間はかかるものの受け渡しをすることができます。

一方一番困るのが、何の連絡もなく外出されること。鍵のかかった扉の中は当然ながら見えませんから、不在なのか、はたまた中で何か事態が発生しているのかの判断が全くつきません。こうなると前述したようなことを繰り返した挙句に結局どうにもならないということになり、一旦留守用の措置(保冷BOXなどを使う等)をして、後から受け取られたかの連絡を取るということが必要になります。

経験測として、通常の受け渡しは、世間話などを除けば、最初のチャイムから受け渡しまで1分以下で1軒の受け渡しが完了します。ところが不在かどうかの判断ができず、チャイムを何回か押し、方々に連絡を取り、留守の措置をして..という一連の作業が発生した場合、長い場合には10分程度かかることもあり、その人へ通常通り手渡しできている場合と比べて1軒でいつもの10倍の時間がかかることになります。

これが何軒もその日に発生したら..もうお分かりですね、その後のお客様への配達が大幅に遅延してしまうことになるのです。

そこで大事になってくるのが「仕方ない」という意識。上記のような事態が発生して遅延が起きた10分はもう戻ってきません。少なくともその次のお宅には10分遅れで到着することになります。そんな時「これはいけない」と車を飛ばしても危ないばかり、イライラするばかりで全く取り戻すことはできず、作業を手早くしようとしても間違いが起きたり思わぬミスが起きたりして余計に時間がかかるのが関の山でしょう。

これができず焦ってしまう方はもっと大きな事故を招くことになるかも知れません。もしも焦って交通事故を起こしたら...考えるだけでゾッとしますね。

確実に作業し、すぐに忘れることのできる人

この仕事は、その日の配達順に従ってお客様宅を訪問し、お弁当の受け渡しをしたら終了です。

「なんだ、そんなの当たり前では?」という方、これが結構難しいんです。

配食サービスの配達員の仕事は、その日に回るルートが決まっていて、何かミスしても原則戻って対処する時間はありません。

また、お客様の要望や既往などによって、事業者によっては全員個別に名札の付いたお弁当を配達する仕組みになっていたり、大半は共通のお弁当だが、一部がそのお客様専用のお弁当があったり、お客様によってご飯や汁をセットにして配達したりする場合があります。

大抵はその方に配達するお弁当はいつも同じなのですが、その日から変更だったり、その日だけ変更だったりすることもあります。

これを指示しているのがいわゆる配達表で、配達表以外にメモなどで指示があったりします。

これらを見ながら、順にお客様のお宅を回り、間違いなく確実に注文通りのお弁当を配達する、この当たり前のように見えることが実は結構神経を遣うこととなるのがこの仕事の大変なところです。

配達は結構な軒数をこなす必要がありますし、何より移動距離の長い配達ルートの場合、1つ前のお宅に戻ってというのに結構な時間を要することもありますから、確実に間違いなく一軒一軒の配達を終えていくことが求められます。

この確実性が損なわれると、途中で「あれ?〇〇さんのお宅は..」ということが多くなり、途中で残りのお弁当の数や内容を何度も再確認しなければならない事態となり、配達の遅延の1つになりますから、確実に一軒の作業を済ませ、過ぎた作業は忘れる、これができるようにならなければ、長く勤めても効率よく確実に仕事をこなせるようにはなりません。

お客様を家族のように思える人

残念ながら、配達をするお客様が今後若返っていくことはありません。あくまでも私の経験の中での話として、若いスタッフの間で「早く受け取りに来いよ」とか「〇〇さんのお宅は宅内まで運んでいくので面倒」とか、中にはお客様との契約終了を喜んだりする人もいます。

この方はなぜ高齢者向け配食サービスを受ける必要があるのか?を考えればそんな発言は、冗談でも出てこないはずなのですが、悲しい限りです。

また、他者への切り替え、施設への入所、長期の入院、悲しいお別れ、そのたの要因により、契約が終了すればそのお客様との関わりは終了となります。

お客様によっては長い縁となる方もいれば、ほんの数カ月、ほんの数回配達に伺っただけで終了というケースも少なくありません。

そんな中で持つべきは「思いやりの気持ち」です。

例えばいつもと同じようにチャイムを押して、すぐに応答があり、比較的短時間で受け渡しができていたお客様がいるとしましょう。

そしてある日その人のお宅に伺った時、手に湿布や包帯を巻いていたらどうしますか?手を痛そうにしているのに、いつも通りその場でお弁当を渡して終わりですか?

違いますよね?

もしもお弁当を運ぶのが大変そうなら食卓まで運ぶ提案をすることもできるでしょうし、その前に一声かけてあげることもできるはずです。

そしてそれが続くようであれば、これまでの受け渡し方法を変更することも検討すべきだと思います。

もう一度書きますが、高齢者向け配食サービスで食事の提供を受ける方は、ケガなどによって一時的な契約をされる方以外、老齢化によって今後徐々に、確実に体は今まで通り動かなくなっていくのですから。

日々お弁当を配達するのが仕事ではありますが、その方を知ること、その方の変化に気づくこと、その方が無理をしたり転んでケガをしたりすることがないようにすること、そうした思いやりのある方がこの仕事には向いていると思います。

「そんなことをしていたら配達がどんどん遅れていく」と思うかも知れません。でもそれは事業所と配達員間のスケジュール調整の問題であり、大変なようであれば事業所と相談して他のルートで別のお客様の配達ができないかなどいくらでも調整ができるはずです。

ただし、やってはいけないことがあります。それは家族のように思っていても、家族や友達にはなってはいけないということです。思いやりがあり、家族のように考える方は、「〇〇してあげたい」と思うようになることも少なくありません(私も実際に思う時は多々あります)。それを行うために勤務外で何かをしてあげようかと思うこともあるかも知れません。

でも、私たちは高齢者向け配食サービスの配達員として自分の担当するすべての方に同じことができなければなりません。何かをついでに運んであげるなど軽微なことは構いませんが、「ん?」と思った時はそれをすべての担当顧客に頼まれたらできるか?という観点で考えると、対処すべきかどうかの判断ができます。またもし必要なことであるのなら、事業所のサービスとして実行可能かどうかを相談すればいいでしょう。

以上、長々と書いてしまい、中には感情も含まれる部分もありましたが、少なくとも私はこのような意識でこの仕事に取り組む、また、自身に適正があると思われない方は、この仕事に従事しない方がいいと考えます。

最後に、高齢者向け配食サービスの配達員という仕事は、介護の中の1つの役割ではあるものの、直接的に介護を行うものではないため、介護職種の資格を取るための実務期間には算入されません。介護系の資格を取りたい方は、この仕事ではなく、施設での仕事をされるといいでしょう。

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